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羽毛布団の作り方とは
羽毛布団の作り方は、中に入れる羽毛を使える状態に処理する工程と、側生地を作る工程、羽毛を充填する工程に大きく分かれます。では、それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。
羽毛をほぐし、選別する
羽毛布団には水鳥の羽毛を使用しており、そのほとんどを海外から輸入しています。圧縮されており、不純物や使用できない羽毛も混ざった状態で納品されるため、ほぐして種類を選別しなければなりません。
ダウンは非常にデリケートであるため、手荒に扱うと品質を損ねてしまいます。少しずつ丁寧にほぐしていくため、時間のかかる作業です。ほぐす際に、大きな不純物はほぐすついでに取り除きますが、細かな不純物はまだ残ります。
ほぐした後は、ダウンとフェザーとスモールフェザーに分離する作業です。手作業ではなく、専用の機械を使用して行います。小石や竹などの比較的小さな不純物も分離されるため、この段階で大半の不純物がなくなるでしょう。
ゴミなどの付着を取り除く
鉄粉や砂などの細かい不純物やゴミなどがまだ付着しているため、全て取り除く必要があります。粗大除塵工程、細目除塵工程という順番で大きな不純物やゴミから先に取り除き、最後にサイクロンという機械を使用して、非常に細かい不純物やゴミを除去します。
洗浄する
不純物やゴミの除去が終わったら、次に行うのは洗浄です。源羽毛の洗浄専用の洗濯機を使用して洗います。
使用する洗剤も源羽毛専用のものです。専用の洗濯機では一度に大量の源羽毛を洗浄できる仕様になっていますが、できるだけ余裕を持たせて少しずつ洗浄します。ダウンは非常にデリケートであることから、一度に大量に洗浄すると、品質を損ねてしまうおそれがあるためです。
十分に乾燥させる
洗浄した後は乾燥させなければなりません。乾燥のさせ方が羽毛の品質に大きく影響を与えます。
保温性も耐久性も、乾燥のさせ方次第です。同じ羽毛を使用していても、乾燥のさせ方によって、仕上がり具合にかなり大きな差が出ます。そのため、過去のデータを元にして、慎重に行う作業です。殺菌処理も乾燥と同時に行います。
冷却する
乾燥させた直後の羽毛は熱いため冷却させる必要があります。また、洗浄済みではあるものの、たんぱく質の臭いが残っていることが多いです。冷却させると、たんぱく質の臭いも消えて、生地の中に詰められる状態になります。
生地の検査
生地にほつれている箇所があったり、穴が空いていたりすると、中に詰めた羽毛が出てきてしまいます。そのため、生地を入念にチェックしなければなりません。問題がないことを確認した生地は裁断を行います。
縫製加工する
裁断した生地は縫製加工を施し側生地を作っていきます。縫製加工も羽毛布団を作る上で大切な作業工程です。同程度の品質の羽毛を使用していても、縫製加工の良し悪しで布団の品質に大きく差が出てきます。
キルト加工をする
キルト加工を施すと羽毛を入れられる状態になります。平面キルトが比較的簡単にできるキルト加工です。品質の良い羽毛布団の多くは立体キルトや2層式立体キルトにしています。
羽毛を入れる
キルト加工が済んだら、羽毛を生地の中に充填します。掃除機のホースのような細長い管を吹き込み口から挿入して、奥の方にあるキルトのマスから先に行います。
一マスずつ充填していくため、マスが多いほど時間がかかる作業です。また一マスに入れる羽毛の量はあらかじめ決められています。そのため、均一に羽毛が詰められるのです。
完成
全てのマスに羽毛を充填してから重量検査を行い、あらかじめ決められている重さになっていることを確認したら、吹き込み口を縫って閉じます。そして、最終検査として針や金属片などが残っていないかどうか確認して完成です。
羽毛布団には1層構造と2層構造がある
羽毛布団はキルト1層構造になっているものと2層構造になっているものがあります。1層構造は比較的安価な羽毛布団で採用されている構造です。
キルトが1層だけであるため、作りが単純で製造工程が少なく、低コストで製造できます。ただ、縫い目から熱が逃げやすいのがデメリットです。
1層構造であってもキルティングにマチを付けている立体キルトの羽毛布団なら、縫い目の部分に羽毛が入っており、暖かさを保てます。
2層構造は上層と下層に分かれているため、その分だけマスの数が多いです。1層構造の羽毛布団を作る場合と比べて作業工程が増えます。内部構造を作るのに要する技術水準も2層構造の方が高めです。熟練した職人が時間をかけて作るため、製造コストも高くなります。
基本的な構造は1層構造でも2層構造でもそう大きく変わりません。ただ、どうやって2層構造にしているのか、作り方が気になっている人も多いでしょう。
2層構造の羽毛布団のキルトは、マチ布の表生地と裏生地が互い違いになるようにして縫製します。1層構造と同じ作りのものが2つ重なっていると捉えていいでしょう。
1層構造の羽毛布団と比べて保湿性に優れており、熱も逃げにくいです。寒い冬でも温かくして眠れます。
また、マチ布は表も裏も周りより厚みが薄くなっている箇所があります。2層構造の場合には、位置をずらして重ねることで全体の厚さを均一に保っていることが多いです。
内部構造が複雑だと、羽毛を充填する作業もそう簡単にはできません。1層構造の羽毛布団を作る場合に要求される技術力よりも、高い技術力が必要です。
2層の場合には羽毛の充填の際に使用する管も、1層構造の羽毛布団を作るときに使用するものとは異なります。
マスの数が多い分だけ、充填する羽毛の量も1層構造よりも小分けです。熟練した職人が手間をかけて作っています。
2層構造の羽毛布団を購入したいなら、量販店よりも布団専門店で探してみるのがいいでしょう。
例えば櫻道ふとん店などが挙げられます。
まとめ
普段何気なく使っている羽毛布団は、かなり細かな製造工程を経て作られていることが分かるでしょう。
寝心地の良い羽毛布団は良い素材を使っているだけでなく、職人の腕も大きく関係しています。熟練した職人が手間をかけて羽毛布団を作っているからこそ、我々は快適な環境で眠れるのです。